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南極「血の滝」に海の微生物、ただし滝の水中ではなかった
南極のテイラー氷河にある赤い氷、泥、堆積物から、海に由来する複雑な微生物の群集が見つかった。RNAの分析から、採取時に活動していたことも分かった。
ただし、氷河の下にある塩水から直接検出したわけではない。これらの生物が250万年間生き続けたと証明した研究でもない。
なぜ血のように赤いのか
「血の滝」は、テイラー氷河の端から塩水が時折流れ出す場所だ。水に含まれる鉄が空気に触れてさび、雪や岩を赤く染める。血や赤い生物の色ではない。
氷河が進んだ時に海水が閉じ込められ、現在の塩水層になった可能性がある。以前の研究はその水から細菌を見つけたが、核を持つ複雑な微生物は確認していなかった。
何を、どこで見つけたのか
研究チームは、血の滝周辺、マクマードドライバレー、近くの海から、水、氷、泥、堆積物、風で運ばれた物質の計167試料を集めた。海系の群集は氷河末端の赤い物質で際立っていた。
珪藻、渦鞭毛藻、繊毛虫など、核を持つ真核微生物が複数含まれていた。重要なのは、氷河下の塩水そのものからは真核微生物が検出されていない点だ。

本当に生きていたのか
DNAは生物が死んだ後も残ることがある。そこで、より早く壊れるRNAも調べた。光を利用する微生物が採取時に活動していた痕跡が見つかった。
塩分のストレスに耐え、細胞を修復する働きも動いていた。これは南極の晩夏を切り取った結果で、一個体が数百万年生きたという意味ではない。
海由来だと考える根拠は
血の滝の群集は、ほかの内陸水よりも近くの海の試料と多くの遺伝型を共有していた。氷河末端では9.34%、ほかのドライバレーの水では1.15%だった。
珪藻だけでは20.4%対1.5%だった。氷河と海の近縁系統には遺伝的な分離も見え、長く隔離されていた可能性と合う。
現在の風の試料には海の信号がほとんどなかった。今の風だけで群集全体を説明するのは難しい。
250万年前の生物の子孫なのか
可能性はあるが、まだ決められない。昔の海水流入後に長く残った場合、古い時代に風で運ばれた場合、ごく少ない現在の流入が混ざった場合が残る。
今回読んだ短い遺伝子領域だけでは、新種や地域固有種とも断定できない。より長いゲノムと培養した細胞で、分かれた時期を調べる必要がある。
海由来の複雑な微生物が南極でも特に乾燥した場所で活動していることは確かだ。生命が激しい環境変化に耐える仕組みを知る新しい手掛かりになる。
公式一次資料
一次資料: Nature Geoscience original research article