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量子もつれでラムダ粒子のEDM測定限界を約1,000倍改善
BESIII国際共同研究は、量子もつれしたラムダ・ハイペロンと反ラムダの対を使い、電気双極子モーメントの感度を従来の直接測定より約1,000倍高めました。9月3日にScienceで発表され、10⁻¹⁹ e·cm領域に達しました。
ただしゼロでない電気双極子モーメントの証拠は得られませんでした。物質が反物質より多い理由を解決したり、標準模型を超える新物理を発見したりしたのではなく、効果が隠れ得る範囲を狭めた結果です。
何を測ったのか
電気双極子モーメントは粒子内の正負の電荷分布の偏りを表します。スピン方向に沿った恒久的な非ゼロ値があれば時間反転対称性が破れ、通常のCPT仮定の下でCP対称性の破れも意味します。ラムダはアップ、ダウン、ストレンジの各クォークを含み、中性子や原子とは異なる相互作用を調べられます。
短寿命粒子をどう調べたか
ラムダはすぐ崩壊するため、外場中でスピン歳差を長く追う従来法が困難です。北京電子陽電子衝突型加速器IIで、研究チームはJ/ψがラムダと反ラムダに崩壊する約300万事象を選びました。二つのスピンのもつれと、その後の陽子・パイオンなどの角度分布をまとめて解析し、小さな非対称を探しました。

約1,000倍とは
粒子のEDMが1,000倍になったのではありません。1980年代のフェルミ研究所による直接測定より約3桁小さい値を識別できる感度です。10⁻¹⁹ e·cm領域に達したものの結果は統計的にゼロと両立しました。正確には非ゼロ値の検出ではなく上限の厳格化です。
もつれはなぜ重要か
急速に崩壊する一方の粒子から失いやすいスピン情報を、反粒子との相関から推定できます。長い歳差運動を追わず、もつれを精密測定の道具にする方法です。研究チームはシグマやクサイなど他のハイペロンにも広げられるとしています。
まだ分からないこと
宇宙の物質・反物質非対称の原因はこの結果だけでは選べません。より大きな標本、検出器と角度モデルの厳密な管理、他の粒子のEDM測定との比較が必要です。次はScience論文の追試・引用とBESIIIの追加データを確認します。